- 当院を開院して3年半が過ぎましたが、そのなかでMondor(モンドール)病をお二人経験したので少しブログにまとめておきます。
- 胸が痛いという症状で来院された時に多くの医療者が頭の中で考えることは
- 緊急性のあるもの(Critical):心臓や血管、肺などで重篤な病気
- 良くあるもの(Common):打撲や肋軟骨炎といった胸壁の痛み、逆流性食道炎など
- 治療可能なもの(Curable):帯状疱疹など
- の3つを考えながら患者さんのお話を伺ったり、診察をしたりしています。
- どのような病気の割合が多いかは診療するセッティングにもよりますが(例えば大きな病院の救急外来では緊急性のあるものの確率が多くなり、私たちのような地域のクリニックでは、良くあるもの、治療可能なものが多くなります。緊急性のあるものがゼロではないところが難しいところではありますが…)、どの診療セッティングでもあまり見かけないものがこのMondor(モンドール)病です。
- 胸が痛いということで乳腺外来で相談されるケースから、Mondor病は女性の割合が多いという報告がありますが、当院で経験した方はお二人とも男性でした。(乳腺外来はそもそも女性の受診者が多いため偏りがある可能性は否定できませんね)
- Mondor病がどのような性差で起こるのかはまだまだはっきりしないことも多いようですが、これは皮膚の浅い部分の血管の炎症(血栓性静脈炎)によって起きるようです。
- 静脈炎ということで確かに当院でも胸部に策状物を触れることができました。
- 幸い時間の経過とともに症状が改善することが多いので、診断をお伝えすることがそのまま治療につながることが多いです。
- 女性では乳がんなどとの関連が示唆されていますのでもし女性で来院される方があればお伝えしたいと思います。
参考文献
- 見逃し症例から学ぶ日常診療のピットフォール 生坂政臣著 医学書院