2015.08.21カテゴリ:家庭医まなログ
指導医に役立つ教育理論
少し医学教育について考える機会があったところに、教育理論を目にするチャンスがあったため一読。
感想としては・・・
- 「良き医師」の育成は医師の役割のひとつであることは間違いないので、いずれ医学生、初期研修医などを教育でまた受け入れたい。
- ひとまずは定期的に行っている後期研修医のカンファで自分の指導を意識的に振り返ってみる。
- 学習自体が協同的なものなので、いかにそのような場を自分の周りに作っていくかが開業後の課題。
- 中堅になってなお、やはり必要なロールモデル。自分はどんな人をロールモデルにしているのか?
の4点
教育者の12の役割
Hardenらが提示
- ロールモデル(role model)
- 現場でのロールモデル(on the-job role model)
- 教育者としてのロールモデル(Teaching role model)
- 情報提供者(information provider)
- 講義者(Lecturer)
- 臨床指導医(Clinical or practical teacher)
- 教育資源作成者(Resource developer)
- 資料作成者(Resource material creator)
- シラバス・手帳作成者(Study guide producer)
- カリキュラム責任者(Curriculum organizer)
- 学習コース責任者(Course organizer)
- カリキュラム立案者(Curricurum planner)
- 評価者(Assessor)
- カリキュラム評価者(Curriculum evaluater)
- 評価者(Student assessor)
- 12も役割があると。元文献を読まないといまいちしっくりこないが、覚え書きに。
Knowlesの成人学習理論
成人である学習者は,
- 独立心が強く,自己のペースで学習することを好む
- 既に幾多の経験があり,それが学習の糧となる
- 実際に役立つ学習に価値をおく
- 差し迫る問題を解決するための学習を好む
- 強制ではなく自らの学習意欲に駆られて学ぶ
TARGETモデル
- Task 学習者のタスクの意義を明確化
- Autonomy 学習者の志向を尊重
- Recognition 学習者として認識
- Grouping 学習者同士の交流を促す
- Evaluation 学習者の評価・報告の機会を設ける
- Time 時間や期間の決定にも学習者を参加させる
経験的学習モデル
- 具体的経験(Experience)→省察(Reflection)→概念化(Theory)→計画(Plan)
- 家庭医にとってはあまりにも有名なサイクル。
熟達化理論
- エキスパートになるには「よく考えられた練習(deliberate practice)」を積むこと
- その人の技術を向上させるために最適な難易度に設定されている
- 練習の結果に対して,フィードバックがある
- 自分で,結果の良し悪しを評価している
- 本人がやる気を出して練習している
- 継続的に練習している
- 課題の楽しさを教えてくれるコーチがいる
- 練習に専念できるよう環境などへの支援がある
正統的周辺参加
- 初学者が学びを進めるときには、組織のコアに自分が目指すべきロールモデルや仕事が存在し、周辺にはコアを目指す様々なレベルの他者や仕事が存在する。
- 良きロールモデルを持つことはどんな教育方法にも勝るこの上ない教育資源になる。
反省的実践家(Reflective practitioner)
- Schonによる(oはウムラウトあり)
- 「技術的合理性」に基づき行動する「技術的熟達者」から「行為の中の省察(reflection in action)」に基づき行動する「反省的実践家」へ
- 何が起こったのか、その後の振り返り「行為の後の省察(reflection on action)」
【参考文献】
- 内科指導医に役立つ教育理論
- https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/100/7/100_1987/_pdf
- Harden R M and Crosby J R(2000).AMEE Education Guide No 20:The good teacher is more than a lecturer―the twelve roles of the teacher. Medical Teacher 22(4):334-347.