2015.08.04カテゴリ:家庭医まなログ
パーキンソン病のお勉強①
ずいぶん更新が途絶えてしまいましたので、家庭医として学んだ記録を残していきたいと思います。
最近訪問診療、外来などでパーキンソン病、パーキンソン症候群を呈する方がありましたので、復習を兼ねて。
1.パーキンソン病とは
ロンドンのDr、James Parkinsonが1817にエッセーに症状の特徴を記載
フランスの神経学者Jean Martin Charcotが本症をパーキンソン病と呼ぶことを提唱。Charcotの弟子にはPierre Marie、Babinski,Gilles de la Tourette, Sigmund Freudあり。医学を学んだ人なら聞いたことがある方ばかり。
1919年にフランスのTretiakoffが黒質緻密層の神経細胞脱落がパーキンソン病の責任病巣であることを記載
1960年にHornykiewiczらが線条体ドパミンの著明な低下であることを記載。
2.パーキンソン病の症候
初発症状の約50%が振戦、約30%が下肢の歩行障害、約20%が手の動作緩慢。まれに前傾姿勢や小声も。
初診時は便秘、嗅覚低下、入眠障害、中途覚醒、レム睡眠行動異常、夜間の頻尿聞くべし
パーキンソン病の振戦は手の前方挙上など姿勢をとると平均10秒程度の潜時あり。本態性振戦では潜時なし。本態性振戦/パーキンソニズムというグループは潜時が6秒程度と短いが、年余を経てパーキンソン症状がでてくるものもある。
固縮と痙縮。ともに筋伸張反射亢進だが、固縮は一様の抵抗。痙縮は最初に強い抵抗だが途中から抵抗抜ける(折りたたみナイフ現象)
固縮は手首の伸展・屈曲で診よう。肘ではリラックスできなくて固縮と見誤る。下肢なら足首で。
様々な動作緩慢症状。瞬きが少なくなる、仮面様顔貌、流涎、小書症など。指タップ運動と回内回外運動で診よ。
つぎ足歩行はⅢ度までならおおむね可能。二次性パーキンソニズムで障害出やすい。
2つの異なる動作の遂行障害あり。
姿勢反射障害:後方突進減少はⅢ度以上。
すくみ足:家庭における転倒のもっとも大きな原因。wearing offのオフ時に出現しやすい(80%)薬で関係ない場合(20%)は床に黒いテープを貼るなど。
腰折れ、ピサ症候群、首下がり:ドパミンアゴニスト使用中に現れたら減量・中止して改善するか検討。首下がりはパーキンソン病より多系統萎縮症に多い。
Striatal hand , striatal foot 目で覚える。
Hoehn and Yahrは下肢の重症度を中心にまとめたもの。ADLを表しやすいか。
UPDRSは症候をできるだけ客観的に記載しようとしたもの。薬剤使用前後や初診時からの比較など。
参考文献:パーキンソン病の診かた、治療の進めかた